自分の庭や市民農園などを利用する場合はそこに土があるので堆肥や肥料を入れるなどして土つくりを行いますが、プランターで植物を育てるときにはそういうわけにはいきません。
基本的には市販の培養土を買ってくることになると思います。
培養土には値段がピンからキリまであって、果たしてどの培養土がいいのか、袋の文字を読んでもあまり違いがわかりません。
値段による質の違いもわかりにくいです。
じゃあどうやって選んだらいいのでしょうか。
決め手になるのはやはり値段、ということになります。
価格が高いもののほうが原料も配合割合もいいと思います。
安物は未熟分解物を使用している割合が高いので、栽培中に病気にかかる可能性が高くなります。
初心者は多少ふところが痛んでも高めのものを購入されたほうが栽培に失敗が少なくなって、結果的にコストパフォーマンスが高くなると言えるかもしれません。
− 市販培養土を購入する −
あまりにも安いのは粗悪品の可能性もありますが、まずは安いもので試してみるのもアリかなと思います。それでうまく育たなかったら少しずつ高いものにしていきましょう。ただし自分の栽培技術の未熟さを土のせいにしちゃダメですよ。
− 自分で配合する −
市販の培養土に満足できなくなった人は、自分で用土を配合してプランター土を作ってしまいましょう。
意外に簡単ですよ。
<用意するもの>
赤玉土(中粒、小粒) 60%
腐葉土 30%
堆肥 10%
これらをまんべんなく混ぜ合わせるだけ。
●プランターでも有機栽培
有機栽培の条件は無農薬であることと無化学肥料であること。
農薬に関しては自分でかけなければ無農薬栽培となります。
ですが肥料に関してはそうもいきません。
正直に申し上げると市販の培養土で有機栽培に対応しているものはほとんどありません。
通常、有機肥料あるいは有機入り肥料といわれている肥料の多くは、じつは肥料の効き方が遅い有機質肥料の欠点を補う目的で効き方が早い無機原料(化学肥料成分)を有機質肥料に加えたもので100%有機質の肥料ではありません。
つまり簡単にいうと、有機肥料と書かれていても化学肥料成分が含まれている可能性が高いということです。
非常に残念な話ですがこれが現実なんです。
せっかく自分で野菜を育てるんだから有機野菜をつくりたいというのが本当のところでしょう。
そんな人は原材料を自分で配合して用土をつくりましょう。
赤玉土と腐葉土に関して化成成分は含まれていませんので、堆肥を有機100%のものでそろえることができれば完璧です。
追肥用の肥料についても有機JAS法に適応するものがありますので、そちらを選んでもらえればOKですね。
●有機肥料をつくろう(嫌気性ボカシ)
なんでもかんでも買えばいいってもんじゃありません。
肥料なんてものは自分でそろえることができます。
もちろん格安で。
そろえる材料は米ぬか、オカラ、もみがら、EM。
米ぬかとオカラはJAや豆腐屋などで無料もしくは格安でもらえるので探してみてください。
もみがらはJAで手に入ります。
EMはいわゆる微生物資材と呼ばれるものですが、これはさすがに無料というわけにはいきません。
ただし地域によっては環境浄化資材としてEM活性液が無料もしくは格安販売されていることもあるので探してみる価値はあります。
ちなみに、僕の場合の予算は
米ぬか 15kg 105円
オカラ 45kg タダ(豆腐屋で調達)
もみがら タダ(近所の農家から調達)
EM活性液 1L 40円(400円/10L)
なので60数kgのボカシをつくるのに145円で済んでいます。
さて、これらの材料がそろったら準備は完了。
<分量例>
米ぬか 0.5kg
オカラ 1.5kg(必ずしも必要ない。なければ米ぬかのみで可)
もみがら 両手でふたつかみ程度(★重量比★ 米ぬか+オカラ:もみがら=10:1)
EM活性液 適当
<手順>
1.もみがらにEM活性液をしみこませます。
これによって材料を混ぜたときの水分ムラを少なくしてEMを全体に行き渡らせることができます。
半日くらい漬け込んでおければベスト。
2.材料をすべて混ぜ合わせます。
3.水分調整します。
軽く握ってみて、手を開いた時にひと塊りになり、触ると崩れる位が理想。上記分量なら問題ないと思いますが、湿りすぎていれば米ぬかを追加、ぱさぱさすぎるようならオカラを追加するとよい。
4.密閉容器やビニール袋など空気を遮断できるものに入れます。
※あまり押し込まないで空気を中に残すこと
5.夏なら2週間、冬なら1ヶ月経てばOK。
目安としては味噌や糠漬けのような香りになれば完璧。水分が多いと失敗する可能性が高くなります。
発酵はコウジ→バチルス→乳酸菌→酵母→放線菌という具合に優先する微生物が変化していきながら進んでいきます。コウジ→バチルスの間は空気が必要な微生物の活動なので、容器に詰め込むときに押し込みすぎると活動しにくくなります。また、もみがらを入れるのは初期の発酵における空気の確保にも役立ちます。
●使用方法
栽培中に適宜与える肥料(追肥)として、地表にぱらぱらと蒔きます。
分解が進むことで養分を放出するので、土と軽く混ぜてあげて水をかけておくと肥料効果は早く現れます。